公式発表によると、日経新聞の朝刊販売部数は約231万(電子版106万)とのことです。
こんなに少なかった?というのが正直な感想です。
一昔前は「ビジネスマンなら日経くらい読んでおくのが常識」と多くの新入社員が言われたものです。私も大学生の頃に新卒で入社が決まっていた会社が購読料を負担して取ってくれていたので、社会人は皆が日経新聞を読むものなのだと思っていました。
しかし、販売部数を見ると、読んでいないビジネスマンの方が圧倒的に多いということです。
日本の就業者数は約6,800万人で、経営者と正社員だけの約4,000万人で考えても、1割も読んでいないことになります。社会人は日経新聞を読まないのが常識なのです。
これはもったいないことです。働いている人がみんな日経新聞を読む必要はありませんが、経営戦略を考える立場の人や、客先の課題や悩みを解決する仕事・成長を手助けする仕事をしている人は読んだほうが良いです。
圧倒的に有利なポジションを得ることができます。
逆にいえば、経済に詳しくなりたい人や、勉強のためにという人は読まなくても良いと思います。
日経新聞を読むべき2つの理由
なぜ日経新聞を読むべきかというと、価値のある情報を得られるからとか経済に詳しくなれるからではありません。
というよりも、新聞に掲載されている表面的な情報を読んで経済に詳しくなれると言っている人がいたら、その人がそもそも経済に詳しくない人でしょう。
コラムや特集は経済についての知識を得られることもありますが、基本的に新聞によって体系的な知識が身に付くとことはありませんので、勉強のために読むというのはあまりオススメしません。
日経新聞を読むべき本当の理由は、決済権者の心が揺さぶられた情報を知るためと、判断を間違えないように感覚を養うためです。それぞれについてもう少し詳しく説明します。
【理由1】決裁権者の心が揺さぶられた情報を知るため
少なくとも私の周りでは経営者と経営幹部は日経新聞を読んでいます。つまり日経新聞を読むということは、決裁権者である彼らが直近で得た情報を知ることなのです。
これは非常に重要なことです。なぜならその情報は彼らの心理を揺さぶり「期待」や「不安」をもたらすものだからです。
例えば印刷会社が画像編集にAI(人工知能)を導入して新たなビジネスを展開している、という記事が載ったとします。
これを見た他の印刷会社の経営者は、「うちにもチャンスがある」と期待を抱いたり、「取り残される」と不安を抱いたりするのです。どちらにせよ、それに関する情報を欲している状況となります。
そこに打ち合わせにやってきた取引先が、「ウチのAIはこういうことが出来るんですよ」と言ったら、それに食いつきます。
これは私自身も何度も経験していることです。日経新聞に自分の業界の記事が掲載された経営者に、その日か次の日くらいにそれに関連する情報を提供すると興味を持って聞いてくれますし、それがきっかけとなって仕事が進むこともあります。
情報というのはタイミングによって価値が変わります。相手が最も欲しているタイミングで与えることで最大の価値を発揮するのです。そのタイミングを知るために日経新聞を使うのです。
【理由2】判断を間違えないための市場に対する感覚が養われる
日経新聞を継続して読んでいると、経営判断に必要な感覚をつかむことができます。
初期からAIをビジネスに導入していたのは、一部のIT企業やスタートアップ企業でした。しかし、今やJTC(Japanese Traditional Company)と揶揄されることもある、伝統的な大企業さえ導入しています。
個人的にはこの時差がほとんどなくなっているように思います。90年代にインターネットが普及し始めたときの、スタートアップと大企業の導入時期の差よりもはるかに短くなっているのです。
要因は、時代の変化や顧客ニーズの変化のスピードが早くなっていることだけではないでしょう。今の経営者世代は20代30代の頃にWindows95という革命的なOSやインターネットに触れていたり、バブル崩壊や就職氷河期を知っている世代であるため、物事が一気に引っくり返るチャンスや、取り残される怖さを直感的に分かっていることも要因かと思います。
なので素早く動かなければ会社が潰れるという危機感を持って経営しており、スタートアップに負けない反応速度で新たな取り組みを行っているのです。
こういった流れは日経新聞の見出しを流し読みするだけでもつかめますし、それによって市場に対する肌感覚が養われます。
この感覚がなぜ重要かというと、経営戦略や事業戦略の判断に必要だからです。例えばスタートアップの強みとしてスピードがあります。まだ大企業がリスクを恐れて手を出さないうちに始めることで市場を占有できます。
そのためには、いつまでにサービスをローンチすれば良いのか決める必要があります。このとき市場に対する肌感覚が養われていないと判断を間違えます。「大企業はトロいから1年後で大丈夫だろう」と判断して、1年もしないうちに大企業の資本力に叩きのめされるのです。
こうしたミスをしないために感覚を養うことが必要なのですが、その効率的な方法は日経新聞の見出しを読むことなのです。
日経新聞を読まなくて良い人
ここまで日経新聞を読むべき理由を説明してきましたが、ビジネスマン全員が読む必要はありません。
業界の動向に詳しくなりたいなら、それぞれの業界紙を読んだほうが良いですし、そもそも仕事で功成り名遂げたいという気がないなら、YouTubeなどで好きなコンテンツを見ていたほうが人生は充実します。
また、読むべき人であっても毎日、全ての記事を読む必要はありません。
日経新聞の文字数は1部あたり約20万です。これは文庫本2冊に相当する量ですから、1分で500文字読んでも400分掛かります。
自分のいる業界と、担当しているクライアントの業界、他は日銀の金融政策と政府の財政政策など広く影響を与える事柄に関する記事だけでも十分でしょう。
他はざっと見出しを流し読みすれば感覚が養われていきます。
ぜひ、勉強のためではなく、仕事で勝つための道具として日経新聞を活用しましょう。

