商品の販売をしている小売店の経営者であれば、日々の売上を少しでも増やしたい、と思っているでしょう。
だからといって、急に来店数を2倍にするのは難しいものです。
そこで今回は、来店数はそのままに、客単価を上げるための面白い研究を紹介します。
お客様は気分によって買い物の内容が変わる
そもそも、お店の売上を増やすには、どうすれば良いのでしょうか?
それは、お客様の気分を変えることです。
「せっかくだから買ってしまえ」という気分にしてあげるのです。
同じお客様であっても、そのときの気分によって買い物の内容は変化します。
例えば、お客様がボールペンを買いに来たとしましょう。
このとき、事前に物価が上がったというニュースを見ていたら「節約しなければ」という気分になりますから、ボールペンだけを買って帰るでしょう。一番安い商品を選ぶ可能性も高いです。
反対に、給料日の直後だったらどうでしょう?
おそらく「せっかく来たのだからノートも買っておこう」という気分になりやすいはずです。また、デザインや機能が良ければ、値段も気にせずに選ぶでしょう。
一種の興奮状態になっているので、強気に買い物ができるのです。
このような精神状態を意図的に作ることが出来れば、客単価が上がり、お店の売上が増えます。
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客にコーヒーを飲ませると売上が2倍になる
では、お客様の精神状態を強気にするには、どうすれば良いのでしょう?
コーヒーを振る舞えば良いのです。
これは飲食店の話ではなく、雑貨や服などのアイテムを売るお店での話です。
お客様にコーヒーを飲ませると売上が増えるのです。
そんなうまい話があるのか?と思うかもしれませんので、サウス・フロリダ大学のディパヤン・ビスワス教授らの実験を紹介します。
この実験では、フランスでインテリアやキッチン用品、日用雑貨を扱う実際の店舗の前に無料のコーヒーステーションを設置し、入店前の客が飲めるようにしておきました。
提供するコーヒーは時間帯によって、カフェイン入りとノンカフェインに分けられました。
そして、買物し終わった客にレシートを見せてもらい、購入した商品と金額を確認しました。
その結果、カフェイン入りコーヒーを飲んだ客の平均支出は約27ユーロ、ノンカフェインを飲んだ客の平均支出額は約14ユーロとなり、約2倍の差が出たのです。
商品の購入点数もカフェイン入りの客は2.16個、ノンカフェイン入りの客は1.45個と差がありました。
この実験では、水を飲ませた場合との比較や、ネット通販でも同様の効果が生じるのかをテストしていますが、どのパターンでも、カフェイン入りコーヒーを飲んだ被験者のほうが、より多くの買物をすることが分かっています。
カフェインにより衝動買いしやすくなる
なぜこのような結果になったのでしょうか?
それは「興奮」が関係しています。
今回の実験では、興奮レベルもチェックしていますが、カフェイン入りコーヒーを飲んだ客のほうが、興奮度が高いという結果になっているのです。
つまり、カフェインが興奮を高め、衝動的な判断をしやすくさせたため、余計なものまで買ってしまったのです。
実際に生活必需品よりも、買わなくても支障のない娯楽品の購入のほうが、カフェインの影響を受けやすいことも分かっています。つまり衝動買いしているのです。
コーヒーの効果恐るべし
そういえば、輸入食品などを販売しているKALDI(カルディコーヒーファーム)は、店頭で無料コーヒーを配っていますが、こういった効果を狙っているのでしょうか?
皆さんのお店も、セールやイベントの日だけでもコーヒーを振舞ってみると、客寄せにもなるので良いかもしれません。
そして、ショッピングモールに出店する際はカフェの近くを狙いましょう。店頭の販売だけではなく、大型の契約をする商談のときも、カフェイン入りの飲み物を出しましょう。
反対に自分がAmazonなどでネットショッピングをするときは、カフェイン入りのものを飲みながらだと、余計なものまでポチッとしてしまう可能性があるので要注意です。
余談ですが、普段からコーヒーを飲む習慣のある人は、香りを嗅ぐだけでも集中力が高まるという研究もあります。
さらにはコーヒーを想像しただけでも、同様の効果があるともいわれています。コーヒーの効果恐るべしです。
ウィンドウショッピングのつもりが…
コーヒーに限らず、無料で何かを提供すると商品を買ってもらえる可能性は高まります。
なぜなら、人間は何か貰ったら返さないと申し訳ない気持ちになる「返報性の原理」というものを持っているからです。
コンビニでトイレだけ借りて、何も買わないのは気まずいという人は多いですが、これも「返報性の原理」が関係しています。
コーヒーを無料で提供することで、ただのウィンドウショッピングのつもりだったお客様も何か買ってくれる可能性が高まります。

