「社長のインタビューをしたい」という取材商法(詐欺)に注意

メールや電話で「ぜひ社長のインタビューをさせていただきたいのですが」という依頼が来ることがあります。

私も何度かその手の連絡を受けたことがありますし、知り合いの社長たちも同じ経験をしています。

今までインタビューなどされたこともない社長は、こんな依頼を受けて舞い上がってしまうかもしれません。しかし、気をつけなければなりません。

それは「取材商法」という名の詐欺のようなビジネスなのです。

取材商法とは

取材商法とは雑誌やウェブメディアが企業に「御社の社長を取材したいです」と依頼をし、普通の取材のように見せかけ、実は金銭を請求するという詐欺のような手口です。

インタビューを受ける側がお金を払うという、馬鹿げた仕組みです。

しかも、その雑誌やメディアも世間にほとんど知られていない、その手口のために作られたようなものです。

インタビュアーを務めるのは、かつては有名だった芸能人やスポーツ選手などが多いです。

中小企業の社長の中には「10万か20万円で有名人に会えるなら」とお金を払って、取材を受けてしまう人もいます。

取材商法を受けると無能のレッテルを貼られる

しかし、これらの取材商法は受けないほうが良いでしょう。

これらのメディアに広告効果はほとんど期待できませんし、今の時代はネットに顔と名前が載ってしまったら、デジタルタトゥーとして半永久的に残ってしまいます。

今の時代、企業間で取引をする際には、相手のことをネットでも調べます。

このときに、取材商法をやっているメディアに名前が載ってしまっていたら、どう思われるでしょうか?

「取材商法に騙されるくらい無能な経営者」と判断されてしまう可能性があります。そして、見込みのお客様が取引に二の足を踏んでしまうかもしれません。

さらにいえば、取材商法サイトのインタビューを受けるということは「私は騙されやすい社長です」と宣伝するようなものですから、さらに似たような詐欺営業がやってくるリスクもあります。

これら取材商法のメディアに載ってしまうということは、宣伝にならないどころかデメリットだらけなのです。

業界紙のランキングの仕組み

取材商法と似たセコい手口は昔からありました。

例えば、売れない業界紙などが「環境に配慮している企業ランキング」のような適当なランキングをつくっていますが、アレも同じような商法です。

そのランキングには、定期購読させたい企業を入れるのです。

そして「御社がランクインしましたのでぜひ買って宣伝につかってください」などと言います。

中小企業の社長室によく置いてある、安っぽい紙質のぶ厚い雑誌も同じです。

こちらはもっと酷いです。「御社の社長のビジネスに対する意見を書いてほしい」といって企業の社長に文章まで書かせてしまいます。

そして「掲載されたのでぜひ取引先に配ってください」といって、大量に売りつけるのです。

そして、他のページに載っている社長たちも同様に騙されているということには気づかないのです。

有名な女性ファッション誌からもよく営業がくる

最近では有名な雑誌でも同じようなことをしています。

私の事務所にもよく、某有名女性ファッション雑誌からメールがきます。(正式にはその広告枠を売っている代理店ですが)

メールのタイトルは取材やインタビューの依頼ですが、中身は「記事風広告」の営業です。

ちなみに雑誌の広告は出稿するのにかなりの費用が掛かりますが、雑誌の内容と関係する業種でない限り反響はほとんどありません。

同じ金額を払ってネット広告を出したほうが、はるかに効率が良いでしょう。2倍3倍のレベルではありません。(そもそもネット広告は表示されてもクリックされない限りは費用が発生しないものが多いです)

今の時代に下手な広告を出すのは、無意味どころか「騙されやすい無能な経営者」というマイナス評価につながることもあります。

特に会社を立ち上げたばかりの起業家や、先代から継いだばかりの2代目などは、取材商法のターゲットにされやすいので気をつけてください。

そういえば、煽り運転で逮捕された犯人の中にも、取材商法のインタビューを受けていた人がいました。

やはり、こういうものに騙される人間は、本当に無能ということなのでしょう。それか異常なほどに承認欲求が強いのです。

出しゃばりな性格の社長は「LVMH会長のベルナール・アルノー氏が仕事でやらないこと」という記事をぜひ読んでください。